活動報告
シンポジウム「小金沢シオジの森の魅力」 
                 平成24年2月4日(土)  大月市民会館3F講堂
■開催の趣旨
シオジ森の学校ができて、7年目を迎えようとしています。
 設立以来、小金沢シオジの森をメインフィールドに、森に親しみ、遊び、学び、育てる活動を進めてきました。その内容もトレッキングやキャンプ。それに動植物の観察やネイチャー・ゲーム、「森のバウムクーヘン」から「積み木の広場」などのレクレーション、また間伐材を活用したクラフトなど、盛り沢山の講座を開設してきました。
なかでも森の学校の講座の中心は、植林から下草刈り、枝打ち、間伐、さらに苗木を育てることから炭焼きまでさまざまな林業体験です。初年度から始まったシオジの人工林を育てる試みは、試行錯誤の連続でしたが、5年目の2010年からは、生原喜久雄先生のご指導を受け、森に実ったシオジの種から苗木作りに挑戦が始まりました。
2011年には、日本山岳遺産に指定され、森林や動植物に詳しい研究者の方々にも加わっていただき、シオジの森の調査に取り組んできました。この調査活動に携わってくださった研究者の皆さんから、「シオジの森は自然の生態系が維持されている貴重な森」と評価されました。
そこで、多くの方々に小金沢シオジの森の素晴らしさを知り、親しんでいただくためにも、シオジの森の魅力とはどんなことか、森の自然環境を保つために今なにをすべきか、この集いを考える機会にしたいと思います。
■石原 誠 氏 (山梨県立県民の森森林科学館 館長)
アヤメ群落を含む櫛形山の自然環境保全活動と関連させながら話を進めたい。シオジ森の魅力は、巨木群はもちろん、それを育む特徴的な土地と多様な植生。それらを元に育まれるツキノワグマを中心とした多様な動物相。そして、より良い形で後世に伝えようと活動する人的資源の存在にあると思う。自然環境保全に向けたヒントのひとつは、現環境成立起源を知ることにあるのではないか。巨木群や岩石堆積環境の成立起源を、人との関わりを含めて明らかにする。また全国的な問題であるシカとの関連も監視していく必要があるのではないか。加えて利用の為のルール整備、活動を支える人的育成の仕組み作りと、必要最低限の施設整備も重要なポイントになると思う
■岡部 恒彦 氏 (山梨県富士東部林務環境事務所 所長)
<シオジの森の魅力>この地域の森林は、古く江戸時代から材木として利用されて、県有林となってからも林業従事者が木材生産や森林保全の作業を行ってきた。このような中、「小金沢土室自然保存地区」(S48)と隣接地を「学術参考林」(S55)として指定。さらに県では、このシオジ林を含む500haを「森林文化の森」として、シオジの保護を第一に、利用を促進することとした。倒木(φ76cm)から林齢を推定すると200年は超えている森であり、歴史・自然など探るべきことは多い。また、新たな関わり方も創出できるのではないか。
<シオジの森の自然環境を保つために今なにをなすべきか。>県だけでは、シオジの森は守れない。一人でも多くの方にシオジの森を知ってもらい、地域の皆さんを始めとした多くの方との連携や支援を得ていくことが不可欠。さらに『乙女高原ファンクラブ』のような、市民・行政・学校・研究者など様々な方がゆるやかなパートナーシップで、様々なレベルでシオジの森と関わり、それを次の世代に引き渡していくための様々な活動を行っていくことではないか。そのため、「森の学校」をパートナーシップの母体として、連絡調整機関として機能していくことをお願いしたい。
■坂田 有紀子 氏 (都留文科大学 初等教育学科 自然環境科学系 教授)
小金沢シオジの森の特徴はなんといっても植物の多様性が高いことだ。これまでに確認されている植物種は98種、そのうち木本は56種(うち、カエデ類は11種)、草本は42種にのぼる。春はニリンソウの群落やトウゴクミツバツツジの回廊が美しい。夏はシオジやブナの緑陰、秋はカエデのすばらしい紅葉・・・と、四季それぞれの美しさが楽しめる。天気のよい日はもちろん、霧や雨に濡れた苔や樹冠も幻想的でとても美しい。だが、シオジの森に来たら、森の景色を楽しむだけではなく、そこにたくさんの生きものが暮らしていることを感じたい。名前はわからなくてもいい。ゆっくりと歩きながら、キョロキョロと周りを見渡してみよう。歩く度に、生き物たちとの新しい出会いや発見があるだろう。林床の草花や苔の一つ一つがとてもユニークで変わった姿をしているし、樹木の幹の模様や葉の形もそれぞれ特徴的で面白い。こうやって生きものの特徴を知ることによって、それまで単なる景色だった自然が、多くの生きものの暮らす場所として見えてくる。シオジの森を訪れる多くの人がそのような体験を重ね、自然に愛着を持ち、自然に対する理解を深めること。それが、シオジの森の保全につながり、将来世代に豊かで多様な自然を残すことにつながるのではないかと思う。
■下澤直幸 (シオジ森の学校スタッフ)
大月市は、約280kuの面積があるが、そのうちの87%は森林が占めている。大月市に生まれ育った子どもたちには、この豊かな森に囲まれ暮らしている素晴らしさを誇りに思ってほしい。
地球規模での自然環境の維持が叫ばれている現代においては、建築や家具の材料や燃料としての木材としてや治山の役割に加えて、おいしい水、澄んだ空気を生み出す源であることも忘れてはならない。「小金沢シオジの森」周辺は、シオジの巨木の天然林の見事さもさることながら、自生する広葉樹や山野草とともに、多くの種類の野生動物が生息している。この森を歩くと、あらためて人間も自然の一部であることとを意識させられる。ぜひ、多くの市民の方々にも親しんでいただけるとよい。